原則買取りできないものだけれど…
こんにちは。
店長新井です。
たまにお売りいただく本の中に名簿が混じっていることがあります。
〇〇大学法学部25会期名簿のようなもので、当店では名簿の類は原則取り扱わないようにしています。
その理由は個人情報ということが第一です。名簿には電話番号が記載されているものもあり、それらはセールスのリストとして利用されるものもあるとも聞いたことがあります。
当店ではそのような利用をすることもありませんので、名簿にお値段がつくことはありませんし、もしもお売り頂く本の中に混じっていた場合には名簿のみ廃棄処分するという形になります。
ですが、もしかしたら必要としている人がいるのではないかという名簿がないかと言われれば嘘になります。
年末にとあるお客様にお品物を持ち込んで頂きました。
その際にカウンター越しに色々と話をしました。
聞けばとある機関で研究をされている方で、これこれこういった郷土の資料を集めている、お宅に今在庫はないか?と聞かれましたが、その関係の在庫はありませんでした。
申し訳ありません今在庫はないようですと伝えると、その関係のものであれば何でもいい、とおっしゃいます。写真一枚でも名簿でも。お宅は名簿は扱わないの?とおっしゃいます。
名簿は原則取り扱わないようにしているんですよ個人情報がうんぬん…そう伝えると古本屋が何を言ってるんだというような顔で、「もちろん個人情報であることはわかるが、名簿一つでつながりがわかることもある。我々は出来事で追うこともあれば人から追うこともあるので、その辺を資料として参考にすることも多いんだよ」とおっしゃいました。
同業者の市で昭和初期の有名大学医学部の名簿がそこそこの値で取引されているのは何度か目撃したことがありました。
そしてそこから重要な資料の一つとして需要される可能性もあることをうっすらと感じていました。
ですが「名簿も買い取ります」とはお客様には口が裂けても言えません。
「書籍として記録が残っていない場合はそういった資料を手掛かりにして調べるしかないんだよ」
お客様がされるそんな話を冷や汗をかきながら聞いていたのでした。