0120-871-355
★電話受付:平日 9時~18時

お電話

現在位置:

全集 ? 選集 ? 著作集 ? それぞれの言葉の違いについて - スタッフY

こんにちは、スタッフYです。


最近私が担当した宅配買取の査定では、『○○全集』、『××選集』、『△△著作集』等のセット本の検索をいくつか行いました。


そこで気が付いたのが、これら『全集、選集、著作集』といった、作品のまとまりを表す言葉の違いを実はよく知らないままだったということです。


そこで、自分なりに調べてみました。


まず、一番目にすることが多く、弊店でも取り扱い多数の『全集』について。


簡単に言うと、『個人の著作を全て集めたもの、もしくは特定の分野について書かれた作品を集めたもの』。


特定作家個人の全集として代表的なものが漱石全集です。


『著作の全て』という範囲は、本という形で世に出された小説等の作品だけでなく、その著者の日記、他作家に宛てた手紙、更にはメモ書き等の全ての文章に及びます。


漱石全集を例として挙げたのは、度々新たな編集がされ、その度に新しく発見された資料の追加などが行われているからです。


古いもので大正13年頃発行の全14巻揃い(漱石全集刊行会刊)、新しいものだと2002年刊行の全29巻揃い(岩波書店刊)の全集があります。


前者と後者では同じ書籍タイトル『漱石全集』となってはいますが、収録内容を比較(小説・短編集等の比較は割愛します)すると、後者には『ノート』(前述のメモ書きのような位置づけの文章でしょうか)と、『英文学研究』が付け加えられていることが分かります。


また、後者の全集では、1993年に同社から刊行された全29巻揃い全集の補遺や写真帖、当時の月報の合本が付属しているようです。


このように漱石全集では本来の『全集』に近い形態でまとめられていますが、著作の一部のみをまとめたものでも『全集』と名付けられることもよくあるようです。


特定の分野(例えば謡曲)について書かれた作品、特定の年代の作品を集めたものも『全集』の名がつくので、納得ですね。


(個人はともかく、分野や年代というと果てしないですよね(^_^;))


では、『全集』以外のものについて。


『集成』・・・多くのものを集めて、一つの全体にまとめ上げること。また、まとめたもの。


『作品集』・・・様々な作品を含む出版物。


『選集』・・・ひとりの人または多くの人の著作から、ある意図で選び集めて作った書物。
※『選(せん・えら-ぶ)』多くの中からえらびとる。よりぬく。えらび出す。


『撰集』・・・詩歌や文章を、多くの人の作から抜いて集めた書物。
※『撰(せん・えら-ぶ)』文章や書物を書き著わすこと。また、編集すること。また、詩歌などを多くのものの中から選ぶこと。


『著作集』・・・ある人物の著作を集めて編集した書物。


『選集』と『撰集』の違いについては調べてみても納得のいく解説に巡り合えませんでしたが、漢字の『選』『撰』の違いは英語でいうところの『choose』『select』の違いに近いのかもしれない…という記述を見つけて、そう言われてみれば…と思ったのでした。


その他についても、その文字が持つ以上の意味はなく、『全集』程には特筆すべき特徴は無いようです。


著作集と全集の違いについても、出版業界で厳密に決められているということもなく、刊行する際にどちらの名称をつけるかは各出版社の裁量により決められているそうです。


全集がその著者の記したあらゆる文章ということは前述しましまたが、つまり、著者が存命なうちは新しい作品・文章が世に出る可能性があるということです。


が、著者自らが作品をまとめ、全集として刊行している例もあります。


ちなみに、中国では存命中の刊行・没後の刊行の区別がはっきりしているそうで、存命中に刊行されるものは『集成』、没後に刊行されるものは『全集』としています。

2021年7月5日 本買取ダイアリー [RSS][XML]


本買取ブログTOP